練馬区の子供へ未来を考える会に招かれて

  
 『憲法改正について』

練馬区

清原淳平会長

日時:平成23年6月18日(土)
    午後2時~
会場:石神井公園「区民交流センター」
主催:練馬区の子供へ未来を考える会


講演要旨

改憲が必要な理由(1): 広域災害など危機管理規定がない
 今年は3月11日、大震災・大津波があり、さらに原発事故と、まさに国難とも呼べる事態が発生しました。これに対し対応が非常に遅い、という声が上がっています。なぜこうなるのか。それは、わが国憲法にそうした広域災害時に、非常事態宣言を発し、その最高指揮権者は誰か、の規定がないことにもあります。
 近隣諸国の例を見てみましょう。規定があります。ロシア憲法88条には、「ロシア大統領は、ロシア連邦憲法および連邦の法律に定める事由が有る場合その手続により、ロシア連邦の全土またはその一部の地域に非常事態を宣言し、遅滞なくこれを連邦会議および国家会議に通知する。」と書いてある。大韓民国の憲法第76条には、「大統領は、内憂、外患、天災、地変または重大な財政上および経済上の危機においては、国家の安全保障または公共の安寧秩序を維持するために、緊急な措置が必要となり、かつ、国会の召集を待つ余裕がないときに限り、最小限に必要な財政上および経済上の処分をするか、またはこれに関して法律の効力を有する命令を発することができる。」とあります。だから、非常事態が起これば、大統領がすぐに国家非常事態宣言をだし、速やかに対処できるのです。
 なぜ日本の憲法に危機管理規定がないのか。それは、いまの憲法は、日本が戦争に負けた後に、アメリカの占領軍マッカーサー総司令部が作成したものだからです。当時は、占領下ですから、国家緊急事態が生じた場合は、アメリカ軍がすべて対処するという考えです。植民地、属国の憲法ですから、その規定がないわけなのです。ですから、いまこの時期にこそ憲法を改正して非常事態宣言規定とその指揮権者を明記する必要があることを、ぜひご認識いただきたい。

改憲が必要な理由(2): 他国に侮られる憲法9条の規定
 昨年秋、尖閣諸島海域で中国の漁船が日本の巡視船に体当たりを食わせるという事件が起きました。日本側が乗組員を逮捕すると、中国側が強硬な抗議をしてきた。日本政府は、漁船も船員も丁重に中国に帰してしまいました。このような弱腰外交は、世界の笑いものとなっています。
 また、韓国も、島根県沖にある竹島に軍隊を常駐させるなど実効支配を強化しました。韓国の国会議員たちも竹島に上陸して、委員会を開いたりしている。昨年末に、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土に上陸しました。年初には副首相も上陸し、国防相も上陸しています。そのようにして、日本の領土が侵されてきている。どうしてこんな侮りを受けるのか。
 私は、日本国憲法に問題があると思います。第9条には、陸海軍は保持しない。武力行使は放棄する。独立国であれば当然保有する交戦権さえ認めない、と書いてある。この第9条の規定は、海外で翻訳されて、みんな読んでいるわけです。だから「日本の領土を侵しても、日本は何も出来ないんだ」「交戦権もないんだから大丈夫だ」と考える。尖閣問題も、竹島問題も、北方領土に大統領が来る問題も、すべてが第9条の規定に問題がある。だから、これを改正しなければ日本は侮りつづけられるということをぜひご理解下さい。日本国憲法の問題点は他にも数多くあります。今の憲法が生まれてから60年以上もたって、時代に合わなくなっていることをみなさん認識され、憲法改正にぜひ立ち上がっていただきたい。


Q & A

Q 改憲に向けての国会や各政党の動きはどうなっていますか?
button 平成12年から衆参各議院内に全政党相乗りで「憲法調査会」が出来、5年間の審議で、それまで護憲といっていた政党も「創憲」とか「加憲」というようになり、続いて衆参各議院内に「憲法調査特別委員会」が出来、審議の結果、憲法改正のための「国民投票法」が可決した。それにより、本来、国会内に「憲法審査会」が組織されて改憲の案文化へ入らねばならないのに、民主党はじめ野党が、その委員の選出さえしないため、審議に入れない。これは『立法不作為』で議院・政党の違法行為である。
button 現在の憲法は、成立の過程が国際法違反だという話を聞いたことがありますが・・
button 1907年のいわゆる「ハーグ条約」で、各国が、占領下では相手国の憲法・法律を変えない約束をしたその歴史的経過を説明し、第2次世界大戦で負けたイタリアとドイツは、連合国から憲法改正を迫られたが、ハーグ条約加盟を理由に応じなかった経緯。日本は、天皇制存続のため、敢えて憲法改正に応じた経過を説明。
button 集団的自衛権の解釈についてはどう考えますか?
button 学問上、憲法優位説と国際条約優位説の対立があるが、当団体は、国家として国際条約に加盟した以上、それに反する憲法を改正すべきことを説明いたしました。
button 改正へ向けての日本国民が取るべき具体的行動は何でしょう?
button 現行憲法が、60年以上改正されていないため、いたるところに不合理が生じ、もはや解釈改憲も限界に来ているので、さまざまな面からの改憲運動が考えられるが、本日お招きいただいた「練馬区の子供の未来を考える会」としては、現行憲法第3章「国民の権利義務」が、「個人の権利」ばかり強調しているため、やりたい放題、言いたい放題なのが「個人の権利」と誤解しているところに焦点を当て、改憲活動を展開されるのが、当面、妥当な手段・方法と思う、と御助言をいたしました。

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