分かりやすい憲法改正学へのすすめ その13
  ──現行憲法「第7章 財政」および「第8章 地方自治」の各条項について──

清原淳平会長

講話日:平成28年2月26日(金)

清原淳平会長

講演要旨

 まず、「第7章 財政」の条項については、前掲の夜久仁教授の解説に賛同するが、その御解説のうち、当団体としては、以前に解説したように現行憲法第41条には問題があり、また、予算法規説により予算を法律とすると、予算審議の中で議員たちから予算増額修正が出せることになり、論議紛糾・財政悪化を招くおそれがあるので、当団体では、これまでの伝統に従い、「予算行政説」を採用したい。国債条項の明記は賛成である。 その他、明治憲法には「継続費」の条文があったが、現行憲法では削除された。しかし、これでは、長期にわたる政策の実現が厳しいので、「継続費」を憲法に明記すべきである。
 また、現行憲法第89条[公の財産の支出又は利用の制限]については、宗教のみ残し、教育をはじめ慈善・博愛については削除すべきことを、詳細に説明した。
 なお、「第8章 地方自治」の条項については、まず、第92条[地方自治の基本原則]にある「地方自治の本旨」について、それが何を意味するかで国家と地方の関係が混乱しているので、学説上その内容とされる「団体自治の原則」と「住民自治の原則」の概念について分析し、当団体では、この「地方自治の本旨」なる文言を削除し、新しい文言に変えることを説明した。また、第95条[特別法の住民投票]の条項は、地域エゴを生じているので改めることを説明し、さらに、大震災・大津波・大事故など国家緊急事態の際は、地方自治体はその権限の一部を停止し、内閣の指揮下に入る規定を新設するなどの説明があった。

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