衆参憲法審査会に提起される「自民党改正案4項目」を推進すべく
当団体にて検討する!
講話日:平成30年10月10日(水) 清原淳平会長
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講演要旨
A)問題提起
自由民主党内に「憲法改正推進本部」があって、憲法改正案を検討・起案していたが、本年3月、衆参の憲法審査会に提起する事項として、次の4項目の発表があった。(1)自衛隊の明記、(2)緊急事態対処規定、(3)参議院選の合区解消、(4)教育の充実、の4項目である。他方、国会内の衆・参の憲法審査会は、会議も開かれない情況で、審議に入るのは来春の通常国会と思われていた。ところが、今秋の総裁選で、自民党国会議員票の8割を抑えて当選した安倍総裁・総理は、その記者会見で、秋の臨時国会にて、この4案を衆参の憲法審査会に提示してもらいたいとの意向を表明。そこで憲法改正問題は大きく動いた。この案を憲法審査会で発議案として決定するのは、国会議員の役割だが、それを国民投票で賛成が得られるよう国民運動を展開するのは、当国民会議はじめ民間団体の役割なので、本日は、急遽予定内容を変更して、このための勉強会とした、と挨拶した。
B)4項目についての読売新聞世論調査記事(4月30日朝刊掲載)の説明
(1)9条に自衛隊を明記することに賛成と答えた人は55%だが、まだ安心と言える数値ではない。
(2)緊急事態対処規定を改憲して入れよとの賛成者は29%と少なく、しかもこの場合も憲法改正ではなく、法律で対処すればよいとする人が44%もいるので、国民に理解を求める努力が必要だ。
(3)総選挙や参議院通常選挙のたびに「1票の格差」について、「平等原則」に反するのではないかとの裁判所からの指摘もあり、2016年夏の参議院選挙から島根県と鳥取県を1選挙区とするなどのの合区としたが、参議院側が反対して憲法で「合区解消を明記すべし」との声が挙がっていた。この問題についての読売世論調査では、かなり意見が分かれているので、国民への啓発が必要である。
(4)改憲を認める「日本維新の会」は、既存の初等(小中)教育を義務教育・無償としているのに加え、幼児教育や高等(高校や大学・大学院)教育まで無償とすべしとし、公明党も同方向である。世論調査では現行のままでよいとする人が48%おり、国民の過半数を得ることには努力がいる。
C)4項目の解説(便宜上、順序を逆にして(4)から解説に入る)
(4)「日本維新の会」や「公明党」から、小中学校ばかりではなく幼児教育や高等教育も無償化すべしとの声があり、心情的には分かるが、そのためには、20年以上もの長期にわたる財源の確保が必要であり、国家財政にその見通しがない以上、自民党案の第26条改正案のように「教育環境の整備に努あなければならない。」とせざるを得ない。また、自民党案は昔から問題になっている現行第89条の規定では国から私立学校に助成金が出せないが、清原より国は便法を講じて助成金を出している経緯を説明し、自民党案が「公の監督が及ばない」私学教育にだけ助成金を出さないとして、最小限の改正で済ます方針を掲げているのは、国民にとってむしろ分かり易い改正と思う。
(3)参議院の合区解消規定も、合区を選挙区とする参議院議員としては、3年毎に半数改選するため、合区した県の一県で議員がいなくなる場合を生じるので、参議院側が反対する心情もよく分かる。また、合区を解消して元に戻せば最高裁判所はじめ裁判所から「一票の格差」是正を言われるので、かなり長文となるが、現在の自民党改正案のように第47条を改正した上で、参議院議員の定数を6名増やすことにせざるをえないと思う。これも、国会議員が国民によく説明する必要がある。
(2)緊急事態対処規定の新設は、世論調査では、前述のようにその必要がないとする人が多い。そこで、自民党は、まず現行憲法第六十四条の二を新設し、「衆議院総選挙や参議院通常選挙の時期に、大震災など大規模災害が発生して選挙ができない時は、各議院の3分の2以上の多数の賛成を得て、国会議員の任期を延長できる。」また、その「大災害の場合、国会を開いて対処法律を制定する時間がない時は内閣の政令で対処する。のちに国会の承認を要す。」とする第七十三条の二を新設することは、合理的理由ありといえるので、国民に理解を得るべく、努力する必要がある。
(1)第九条の1項と2項はそのままにして、その次に、第九条の二を設け「自衛隊の存在を明記する」自民党案は、それでも法理論上、第九条の「陸海空軍の不保持」、「武力行使の永久放棄」、「(独立国には認められる)交戦権の否認」の影響を受けるが、公明党が九条の改正に反対する以上、やむをえないことであり、当面、自民党案を支持し、後日の再度改正を望みたい、等々の説明があった。
自由民主党内に「憲法改正推進本部」があって、憲法改正案を検討・起案していたが、本年3月、衆参の憲法審査会に提起する事項として、次の4項目の発表があった。(1)自衛隊の明記、(2)緊急事態対処規定、(3)参議院選の合区解消、(4)教育の充実、の4項目である。他方、国会内の衆・参の憲法審査会は、会議も開かれない情況で、審議に入るのは来春の通常国会と思われていた。ところが、今秋の総裁選で、自民党国会議員票の8割を抑えて当選した安倍総裁・総理は、その記者会見で、秋の臨時国会にて、この4案を衆参の憲法審査会に提示してもらいたいとの意向を表明。そこで憲法改正問題は大きく動いた。この案を憲法審査会で発議案として決定するのは、国会議員の役割だが、それを国民投票で賛成が得られるよう国民運動を展開するのは、当国民会議はじめ民間団体の役割なので、本日は、急遽予定内容を変更して、このための勉強会とした、と挨拶した。
B)4項目についての読売新聞世論調査記事(4月30日朝刊掲載)の説明
(1)9条に自衛隊を明記することに賛成と答えた人は55%だが、まだ安心と言える数値ではない。
(2)緊急事態対処規定を改憲して入れよとの賛成者は29%と少なく、しかもこの場合も憲法改正ではなく、法律で対処すればよいとする人が44%もいるので、国民に理解を求める努力が必要だ。
(3)総選挙や参議院通常選挙のたびに「1票の格差」について、「平等原則」に反するのではないかとの裁判所からの指摘もあり、2016年夏の参議院選挙から島根県と鳥取県を1選挙区とするなどのの合区としたが、参議院側が反対して憲法で「合区解消を明記すべし」との声が挙がっていた。この問題についての読売世論調査では、かなり意見が分かれているので、国民への啓発が必要である。
(4)改憲を認める「日本維新の会」は、既存の初等(小中)教育を義務教育・無償としているのに加え、幼児教育や高等(高校や大学・大学院)教育まで無償とすべしとし、公明党も同方向である。世論調査では現行のままでよいとする人が48%おり、国民の過半数を得ることには努力がいる。
C)4項目の解説(便宜上、順序を逆にして(4)から解説に入る)
(4)「日本維新の会」や「公明党」から、小中学校ばかりではなく幼児教育や高等教育も無償化すべしとの声があり、心情的には分かるが、そのためには、20年以上もの長期にわたる財源の確保が必要であり、国家財政にその見通しがない以上、自民党案の第26条改正案のように「教育環境の整備に努あなければならない。」とせざるを得ない。また、自民党案は昔から問題になっている現行第89条の規定では国から私立学校に助成金が出せないが、清原より国は便法を講じて助成金を出している経緯を説明し、自民党案が「公の監督が及ばない」私学教育にだけ助成金を出さないとして、最小限の改正で済ます方針を掲げているのは、国民にとってむしろ分かり易い改正と思う。
(3)参議院の合区解消規定も、合区を選挙区とする参議院議員としては、3年毎に半数改選するため、合区した県の一県で議員がいなくなる場合を生じるので、参議院側が反対する心情もよく分かる。また、合区を解消して元に戻せば最高裁判所はじめ裁判所から「一票の格差」是正を言われるので、かなり長文となるが、現在の自民党改正案のように第47条を改正した上で、参議院議員の定数を6名増やすことにせざるをえないと思う。これも、国会議員が国民によく説明する必要がある。
(2)緊急事態対処規定の新設は、世論調査では、前述のようにその必要がないとする人が多い。そこで、自民党は、まず現行憲法第六十四条の二を新設し、「衆議院総選挙や参議院通常選挙の時期に、大震災など大規模災害が発生して選挙ができない時は、各議院の3分の2以上の多数の賛成を得て、国会議員の任期を延長できる。」また、その「大災害の場合、国会を開いて対処法律を制定する時間がない時は内閣の政令で対処する。のちに国会の承認を要す。」とする第七十三条の二を新設することは、合理的理由ありといえるので、国民に理解を得るべく、努力する必要がある。
(1)第九条の1項と2項はそのままにして、その次に、第九条の二を設け「自衛隊の存在を明記する」自民党案は、それでも法理論上、第九条の「陸海空軍の不保持」、「武力行使の永久放棄」、「(独立国には認められる)交戦権の否認」の影響を受けるが、公明党が九条の改正に反対する以上、やむをえないことであり、当面、自民党案を支持し、後日の再度改正を望みたい、等々の説明があった。