5月3日の沖縄県民会議会合での講演報告

高橋利行先生

講話日:令和元年6月13日(木)

高橋利行先生

政治評論家、
読売新聞元解説部長・論説委員・編集局次長

講演要旨

政治は安定・沖縄は繁栄
 沖縄は貧しいと言われているが、久しぶりに沖縄へ行った感想は、「繁栄している」だ。オリックスが運営している「ヒルトン沖縄北谷リゾート」も完成し、ますます賑わっている。私が講演した会場も、広く、美しかった。
沖縄の空気も変わってきている。
 沖縄の新聞は2紙ですが、5月3日の一紙の1面見出しは「憲法改正に意見伯仲」とあった。中身をよく読むと、議員へのアンケートを実施し、その結果が反対9で賛成6だったと書いてある。以前だったら、「意見伯仲」とは書かず、「反対多数」などと書いていたはずだ。これを見て、沖縄の空気も変わってきたなぁと感じた。
日本の3大危機
 明治以降の日本の3大危機は、(1)関東大震災、(2)ソ連の北海道侵攻、(3)昭和天皇の崩御であった。(3)について言うと、昭和天皇がなくなった後、次の天皇にうまくつなげるかどうかというのは、実は大きな心配事だった。御崩御の後、多くの人々が皇居前に集まったのを見て、私は安心した。
世界は危機でいっぱい
 日露戦争で、なぜ日本は勝てたのか? 当時は、日英同盟があった。そのおかげでロシアの情報がたくさん入ってきて、それで日本は勝てたのだと言える。しかし、その後、日英同盟は簡単に崩れた。日米の同盟関係だって、そのままにしていていいものではない。つねにアメリカの急所をつかんでおかないと危ない。
 アメリカでトランプ大統領が生まれ、「自分の国は自分で守れ」ということになった。この結果、世界中でいろいろな問題が発生している。
 また、アメリカの国力の低下、中国の軍事力の向上があり、米中の貿易戦争がつづいている。中国では、いま空母6隻を保有するまでになっていて海洋進出が盛んになってきている。しかも中国では景気後退が語られている。腹がすけば戦が始まるとも言われる。危機は迫っているのだ。その中国では、習近平は死ぬまで主席をつづけると、ちょっと前までは言われていたのに、今朝の新聞を読むと「習近平、失脚か!?」などと書かれている。それくらい情勢はくるくるかわっている。
 フランスをはじめ各国でポピュリズム政党が力を得てきているのも危機を増幅させている。ドイツではメルケルの人気が凋落。イギリスは合意なきブリグジットへ進もうとしている。
トランプ再選後、何を求めてくるか?
 戦後、吉田首相は、「九条・戦争放棄は、悪くなかった。防衛はアメリカに任せることができ、日本は、経済発展に注力できるからだ」というようなことを言っている。岸首相は、1957年に、日米安保は双務条約にしていかなければだめだと言っていた。岸と吉田は、この点で考え方が異なっている。この防衛問題についてトランプがついてくる可能性が高い。
戦争の概念が変わった
 マシンガンと戦車が登場して、みんな死んでしまう戦場になった。これからの時代はAIが勝手に判断して戦う時代になる。それから宇宙戦争、サイバー戦争の時代になる。核はもっていても、もはや使えない。兵器が勢力図を変えていくのは、いつの時代も同じである。これらの兵器が世界の地図を変えていくかもしれない。
日本は標的とされやすい
 外交力が弱く、軍事力も中国と比較すれば弱く、アメリカもすぐには助けにこない。にもかかわらず自衛意識が希薄。憲法改正もできない。それなのに高い経済力がある。こういう国は狙われやすい。
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