新型コロナウイルスによる緊急事態への対処方法。
菅義偉総理への進言内容等

清原淳平会長

講話日:令和3年10月20日(水)

清原淳平会長

講演要旨

衆議院選が終わって
 この日は、この1年間、政府が何度も発令した「緊急事態宣言」につき、清原淳平会長より、西欧の近代法制度理論の立場から、菅義偉総理に、5~6回、進言書を提出したので、それが、どういう内容の進言書であったか、その内容を御報告した。いまその大筋をいかに記しておく。
 (同じく岸信介元総理から委嘱されたシンクタンクの財団から、鈴木善幸内閣以降、137本の要請書を時の内閣に提出しているが、それらはすべて政策に関する要請であることを付言する)
 昨年からの新型コロナの5波にもわたる感染対策として、政府は、諸外国に倣って「緊急事態宣言」を発令したが、西欧はじめ諸外国の近代憲法は、国民の基本的人権尊重を大原則としてその規定を掲げる。しかし、国家は平常時ばかりではなく、非常事態、すなわち①地震・噴火などの自然災害、②人間が建造した石油タンクなど人工物の大爆発、③過去のペストやコレラや今回のコロナウイルスなど世界的に蔓延する大疾病、④戦争の勃発、という4種類の「国家非常事態」が想定されるので、その場合には、国家は国民の基本的人権を多少なりと制約せざるを得ないが、人権を制約する場合は、基本的人権を謳ったその憲法の中に、「国家非常(緊急)事態規定」と「国家非常(緊急)事態宣言規定」を置くことを原則としており、各国はそうした規定を現に置いている。ところが日本国憲法にはそうした「国家非常(緊急)事態・宣言」規定が置かれていない。
 つまり、法制度理論では、憲法に根拠規定があって初めて、その下に法律を制定して規制もできるが、日本国憲法にはその根拠規定がないため、法律も整備されておらず、指示に反した者に懲役や罰金を科すことは出来ない。この理を進言し、菅総理も罰金・懲役を科すとした発言を取り消された。つまり、日本では憲法に規定がないので、自粛要請程度しかできないのである。
 また、菅総理は、御自分の自民党総裁任期が切れるので、自民党総裁選挙を行うとか、国会議員の任期も切れるので、解散・総選挙をすると発言されたので、驚いて御進言した。なぜなら、西欧先進諸国では、「国家非常事態宣言」が出ている間に、国会議員の任期が到来しても、3か月位延期する規定があり、この宣言中、行政のトップの任期が到来しても6カ月位は延長するという規定があるからである。そこで、清原は、フランス憲法、ポーランド憲法、ドイツ基本法の中のそうした明文を列記し、日本国憲法にはそうした規定がないが、西欧諸国の先例に倣って、日本でも、到来している自民党総裁任期および衆議院議員の任期を延期すべきだ、と御進言したが、日本では政局がらみとなり、結局、菅総理は辞任に追い込まれた次第である。 。

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