北方領土訪問記
──国後島へビザなし渡航──
講話日:平成23年7月25日(月) 中川雅治先生
参議院議員、 |
講演要旨
ビザなし渡航は、平成4年より北方領土に居住していた者や国会議員等を対象に開始された。去る5月14日~16日、私はじめ46名で国後島に渡航した。まず、国後島の行政府と議会の代表者と話し合いをもった。東日本大震災のお見舞い、20年目を迎えるビザなし渡航の意義など、信頼関係強化の期待は述べられたが、領土問題についての言及は何もなかった。続いて家庭訪問を行い、歓待を受けたが、ここが元々日本の領土であったことや、返還についての言及はなかった。ソ連時代は北方領土の開発をほとんどしておらず。今でも国後島は舗装道路が全くなく、3階建以上の建物や商店街もない。しかし、今回の視察においては、最先端の設備を有する幼稚園があり、埠頭や取水場などのインフラ整備が進んでいる様子も見受けられた。特に幼稚園の充実ぶりは、島の子供をここで育てる、というロシア政府の実効支配への強い意志が読み取れ、不安が募った。また、ビザなし渡航団が滞在中にイワノフ副首相はじめ4名の閣僚が20分ほど島に滞在していた。この不遜な態度には強い怒りを感じた。今回の訪問や視察の様子から、ロシア側に4島返還の意志が全く感じられなかった。日本人は北方4島もそうだが、竹島や尖閣等主権の侵害を受けても危機意識がまだ薄いのではないだろうか。東日本大震災は困難で、復興や財政の立て直しも重要な課題である。それと同時に、領土問題や主権侵害への危機意識を共有することも必要である。私も、参議院沖縄・北方問題特別委員長として、先頭に立って活動を続けていく。