憲法改正の3つの論点
国柄規定・天皇条項、安全保障・非常事態規定、人権と公益の調整規定
講話日:平成23年11月1日(火) 高乗正臣先生
平成国際大学・同大学院教授、 |
講演要旨
憲法改正には、大きな3つのポイントがある。話をより具体的にするために、民間の一般人である細川一彦氏の試案(以下H案)と、日本青年会議所06試案(以下N案)を提示しながら説明する。まず1点目のポイントは「国柄規定・天皇条項」。我が国は何を持って我が国であるのか。独自の国柄を憲法に盛り込むべきである。「伝統を尊重しながら、天皇と国民が一体となって国の繁栄に努めてきた。」(H案)「万世一系の天皇を国民統合の象徴として仰ぎ、国民一体として成り立ってきた悠久の歴史と伝統を有する類まれな国家である。」(N案)といった文言を掲げている。また、「天皇は日本国の元首」(H案)とはっきり書いた方がいい。2点目の「安全保障・非常事態規定」では、「日本国は、自衛軍を保持する。」「日本国民は、国防の義務を負う。」「自衛軍の最高指揮権は、天皇が任命する内閣総理大臣に属する。」などの規定がある。また、非常事態が生じた場合に「非常事態宣言」を発し、やむを得ない場合には、住民の諸権利を制限する措置を行うことができるようにすべき。まだ、内閣総理大臣の独裁を防ぐために、「すみやかに国会に付議して、その承認を得なければならない。」等の規定を置かなければならない。3点目の「人権と公益の調整規定」では、戦後民主主義は、我欲の正当化を生んだ、という反省から、例えば表現の自由の項に、「公共の利益に反しないように努める責務を負う。」などの文言を加えるべきだ。との各案のご紹介があった。