政党条項のないわが国憲法にどのような条項を設けるべきか
講話日:平成24年7月25日(水) 齋藤康輝先生 朝日大学法学部教授・同大学院法学研究科教授 |
講演要旨
近代政治において、政党は政治の中心にあり、民主主義を実現するために不可欠の存在である。現在、世界各国の憲法には政党条項が数多くあるが、我が国憲法には「政党」の文言がない。政党条項を憲法に入れるべきだと考えている。一方、これに慎重な立場をとる人もいる。政党内が独裁的であったり、資金運用の不正などが行われることによって、政党不信・政党の暴走を生むのではないか、などというのがその根拠である。確かにそういう懸念もある。しかし、政党には有能な政治家を養成するといった機能もあり、衆愚政治に陥るのを防ぐという利点もある。従って、政党の暴走をチェックする憲法裁判所の条項をセットにして、政党条項を新しい憲法に盛り込むべき、というのが私の主張である。
齋藤康輝先生の経歴 齋藤康輝先生は、青森県出身で昭和36年生まれ。長じて、日本大学法学部を卒業。さらに早稲田大学大学院政治学研究科にて憲法学を学ばれ、その修士課程を経て、博士課程をも終了。その後、岐阜県下の朝日大学法学部教授、現在は同大学院法学研究科教授も兼任しておられる。
平成20~21年、ドイツ連邦共和国のゲッティンゲン大学・客員教授として「政党の憲法的融合と代表の本質に関する研究」を追求され、政党を憲法にどう規定するかについて、わが国の権威のお一人である。当団体の平成15年「新憲法案」でも、政党について1ヵ条を規定したこともあり、今後の研究のためにもお願いして、齋藤康輝先生に御講話をいただいた。