参議院憲法審査会の活動報告と憲法改正への私の考え方


──参議院は、衆議院と異なり、与党が3分の2を得ていないので、与党議員が大層苦労して国民投票法改正を成立させた経緯──
赤池誠章先生

講話日:平成26年7月23日(水)

赤池誠章先生

参議院議員・憲法審査会幹事、元衆議院議員

講演要旨

 平成19年第一次安倍内閣の時に「日本国憲法改正手続に関する法律(国民投票法)制定」を行ったが、このときいわゆる3つの宿題が残されていた。すなわち(1)選挙権年齢、成年年齢等の引下げ、(2)公務員の政治的行為の制限、(3)国民投票の対象範囲を憲法以外に広げる問題である。これらの宿題により、国民投票ができるかどうか、不安定な状況であった。
 第二次安倍内閣となり、平成25年の12月には、(1)投票法改正後も4年間は20歳以上のまま据え置き、その後18歳以上とする。(2)公務員が組織による勧誘、署名、示威運動を企画、主宰することは禁止。(3)国民投票の対象範囲に関する結論は延期、ということで与党合意が成った。
 この後、さまざまな附則をつけることにより、平成26年4月には8党合意(自・公・民・維新・みんな・結い・生活・改革)が得られ、5月には衆議院で憲法改正国民投票法改正案が成立、6月には参議院で成立した。成立させることに重きを置いたため、とくに参議院では多くの妥協を強いられ、膨大な附則がつけられたが、これは致し方ない。今後の憲法改正の方向としては、(1)加憲(合意しやすい環境・プライバシーなどの条項を付け加える方向)、(2)緊急事態(喫緊の問題である緊急事態対処の文言を加える方向)、(3)正面突破(9条など自民党の立党の使命を全うする方向)の3つがあると考えている。

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