大陸法系と英米法系の差異、戦後の両法系の融合
講話日:平成27年10月27日(火) 竹内雄一郎先生 高崎経済大学名誉教授 |
講演要旨
大陸法系の「大陸」とはヨーロッパのことで、ドイツ・フランス、その植民地などで導入されてきた法系である。成文法を中心におき、中世の経験から判例を重視しない傾向にある。一方の英米法系は、イギリスのように成文憲法を持たない国が起源となっており、裁判所の判例を中心においている。第二次大戦前の日本は大陸法系下にあったが、戦後、占領軍の影響を受け、英米法系が取り入れられた。つまり、日本の憲法は、明治憲法が大陸法系の性格を持っていたが、日本国憲法によって英米法系との融合が行われたことになる。この両法系を通して日本国憲法を見ると、大陸法系的視点では、条文を厳格に解釈し、英米法系的視点では、その時代の判例解釈によってある程度の変遷がみられるということになる。戦後70年が経過し、日本国憲法にもさまざまな欠陥が現れている。それは、安保法制の国会論戦を見ていても明らかで、憲法を守っていても国は守れないのである。