憲法改正には国際法の見地を!

篠田英朗先生

講話日:平成30年2月21日(水)

篠田英朗先生

東京外国語大学教授

講演要旨

 私は「平和構築」が専門分野である。平和構築とは、紛争後、世界が協力して紛争の再発を防止する考え方で、国連事務総長ガリ氏が『平和への課題』(1992年6月)で示した概念だ。そのため紛争後に現地に行くことも多い。
 日本国憲法は、国連憲章(1945年6月26日、51カ国により署名)の影響を非常に色濃く受けており、本来、国際法と調和したものである。
 日本は、伝統的にドイツの法学(大陸法)に則って、法体系をつくってきた。ところが、憲法をつくったのは、アメリカ人であり、彼らは英米法の考え方で書いている。それを日本の憲法学の主流派は、無理やりドイツ法式に解釈するから、やっかいなことになるのだ。しかも、国際法の視点が欠けている。
 憲法九条2項で、「交戦権は、これを認めない」としているが、これは、結局のところ、「国際法を守ります」といっているに等しく、やむを得ず戦う権利まで否定しているわけではない。国が侵略されたら、基本的人権を守れない。だから、自衛は、国の当然の義務である。
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